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『ポーの一族』雪組観劇レポ!朝美絢・音彩唯・縣千で蘇る萩尾望都の世界観

観劇感想

以前、花組で初演され「みりれい(明日海りおさん・柚香光さん)」コンビの圧倒的な存在感が強く印象に残っていた『ポーの一族』。

今回、雪組での上演が決まった時から「あーさ(朝美絢さん)のエドガーなら、あの萩尾望都さんの耽美で美しい世界観を間違いなく完璧に体現してくれるはず!」と、期待MAXで劇場へ足を運びました。

実際に観劇してみると、期待を遥かに超える感動と雪組ならではの深みのあるお芝居にすっかり魅了されてしまいました。

今回は、客席で感じたリアルな熱量やキャスト皆さんの魅力について、率直な感想をお届けします!

『ポーの一族』あらすじ

『ポーの一族』の舞台となるのは、永遠の時を生き続ける吸血鬼「バンパネラ」の世界。

ここで登場する「バンパネラ(ポー家)」とは、原作者・萩尾望都さんが生み出した架空の吸血鬼のことです。彼らは人間の血や薔薇のエキスを糧にして生き、人間を自分たちの仲間に引き入れることで「ポー一族」の血を絶やさず増やしていきます。

物語の中心となるのは、もともと人間だった少年エドガー。運命の悪戯からポー一族に加わることになった彼が、愛する妹のメリーベル、そして学校で出会った学友のアランを仲間へと引き入れ、ともに果てしない孤独な旅へと足を踏み入れていく——そんな切なくも耽美な宿命を描いたお話です。

朝美絢のエドガー

幕が開き、間もなく聞こえてくるエドガーのソロ。ここで歌われる「僕はバンパネラ」というフレーズには、ただの自己紹介ではなく、人間からバンパネラへと変わってしまったことへの後悔、迷い、諦めといった渦巻く感情が痛いほどこもっていて、一気に物語の切ない世界観へ引き込まれました。これから始まる残酷で美しい運命を予感させる、圧倒的な第一声です。

そして圧巻だったのが物語の終盤です。再び歌われる「僕はバンパネラ」の歌詞からは、冒頭とは打って変わって、あきらめや深い寂しさを抱えながらも「バンパネラとして生きていく」という静かで少し切ない決意が伝わってきて、胸がギュッと締めつけられました。同じ歌詞だからこそ、彼の心の変化がくっきりと浮かび上がります。

正直なところ、私の中で「エドガー=初演・花組のみりおさん(明日海りおさん)」という強烈な残像がありました。けれど、あーさ(朝美絢さん)のエドガーは、少年の無邪気さやいたずらっぽい笑顔から、ふと魅せる頼りなさや強さまで、表情の振り幅がとにかく凄まじい!あーさにしか演じられない唯一無二のエドガー像がそこにあり、終演後も余韻が抜けないほど強く心に残る存在となりました。

音彩唯のメリーベル

病弱で儚げながらも、兄エドガーを健気に慕う姿が本当にかわいらしかった音彩唯さんのメリーベル。守ってあげたくなるような妹感があふれ出ていて、観ていて愛おしさがこみ上げてきました。

そして、いつも思うことですが、あーさとのデュエットは本当に最高ですね!おふたりの透き通るような美しい歌声が重なり合った瞬間は、うっとりと聴き惚れてしまいました。

歌だけでなく、デュエットダンスの息の合い方も見事。指先まで神経の通った繊細で美しい舞に、思わず客席で魅せられました。

縣千のアラン

地元の有力者の息子でありながら、病床の母を抱え、最愛の婚約者まで失ってしまったアラン。満たされない強い孤独や葛藤を抱え、学校生活では強がったり周囲に威張ったりすることでしか自分を保てないーーそんな不器用な少年を、縣千さんが見事に演じ切っていました。

そこへ転校してきたのがエドガーです。反発し合いながらも、お互いの中に似たような「孤独」を感じ取り、少しずつ気持ちを通わせていく過程が本当に丁寧に描かれていて胸を打たれました。

まだ成人前の子供ゆえの危うさや、どうしても素直になれないアランの幼いプライドが痛いほど伝わってきて、彼の抱える寂しさに思わず寄り添いたくなるような、味わい深い演技でした。

瀬央ゆりあのフランク・ボーツネル男爵

気品の中にも圧倒的な重厚感があり、まさに「ポー一族の長」としての誇りが漂っていた瀬央ゆりあさんのフランク・ボーツネル男爵。

何より印象的だったのは、妻シーラへと向けられる深すぎる愛です。一見冷徹に見えるバンパネラでありながら、彼女を守り抜こうとする眼差しや立ち振る舞いにはどこか切ない情熱が宿っていて、彼の胸にある一途な想いが強く伝わってきました。

ただ恐怖を与える存在ではなく、永い時を生きてきた一族としてのプライドと、人間以上に情の深い愛を感じさせてくれる素晴らしい表現力でした。

小桜ほのかのシーラ・ポーツネル男爵夫人

フランクを心から愛するがゆえに、自ら人間を捨ててポー一族へ入ることを選んだシーラ。小桜ほのかさんが演じるシーラは、ただ美しいだけでなく、その妖艶で圧倒的な気品に「あっ、こうやって人間を魅了し一族へと引き入れてきたのね」と深く納得させられる説得力がありました。

優雅な立ち振る舞いの端々に漂うバンパネラとしての美しき凄みと、同時に感じられる儚さ。

ただの恐ろしい吸血鬼ではなく、運命を受け入れて気高く生きる一人の女性としての生き様が美しく際立っていて、思わず魅入ってしまう存在感でした。

美穂圭子のブラヴァツキー

世界一の霊能力者という、うさんくささと怪しげな雰囲気を漂わせつつ、圧倒的な存在感を見せてくれた美穂圭子さんのブラヴァツキー。

作品のスパイスとなるユーモラスなシーンも素晴らしく、大老ポー(奏乃はるとさん)の魂を呼び出した場面で「本当に疲れた、大老を呼び出すのは大変だったんだから」といった心の声が漏れるようなリアルな演技には、客席からも自然と笑いが起きていました。緊張感の続く物語の中で、ふっと場を和ませてくれる絶妙な間が最高です。

そして何より、美穂さんの歌声はいつ聴いても素晴らしい!劇中の歌唱はもちろん、エトワールとして劇場全体を包み込むような朗々とした歌声には深く感動しました。

華世京のジャン・クリフォード

女性たちの視線を一身に集めるプレイボーイな医師・ジャンを演じた華世京さん。登場した瞬間からまさに「モテオーラ全開」で、思わずクスッと笑ってしまうほど魅力たっぷりでした(笑)。

スラリと伸びた細身の長身と抜群のスタイル、そして舞台上のどこにいてもパッと目を引く華やかさ。お芝居の最中も、客席から「気づけばつい目線で追ってしまう!」という強い存在感を放っていました。

色気と爽やかさを兼ね備えた魅力的なジャン像で、物語に華やかさを添えていました。

華世京さんは、新人公演ではエドガー役。どんなエドガーを演じてくれるのでしょうか。大劇場での新人公演は残念ながら観ることができませんでした。東京公演が楽しみです。

『ポーの一族』まとめ

今回の雪組公演は、萩尾望都さんの耽美な世界観へどっぷりと浸ってしまう素晴らしい舞台でした。明日海りおさん率いる初演花組公演には華やかで煌びやかな魅力がありましたが、雪組は、重厚なお芝居の中にどこか控えめで品のある華やかさがあり、組ごとの色の違いを実感できたのも非常に面白かったです。

フィナーレのショーでも見どころが満載でした!特に印象的だったのは、あーさが娘役の皆さんを引き連れて踊る群舞の場面。紫にピンクを混ぜ合わせたような妖艶なお衣装を纏い、まさに『ポーの一族』のミステリアスな空気感そのものを纏っているかのような美しさでした。一方で男役同士の群舞では、一転してキレッキレでハイテンポなダンス、そのギャップと情熱にすっかり魅了されてしまいました。

そして、この公演を最後に退団される美穂圭子さん。エトワールとしての美声は圧巻でしたが、ファンとしては「もっと劇中で長いソロを聴かせてほしかった!」と贅沢な欲が出てしまうほどでした。

個人的に少し思い出話をさせていただきますと、私が美穂さんの歌声に初めて感動したのは、月組公演『ロミオとジュリエット』の乳母役でした。ジュリエットを我が子のように想う深い愛情と切ない葛藤が歌声に乗ってひしひしと伝わり、観劇するたびに客席で涙を流したことを今でも鮮明に覚えています。

だからこそ今回、エトワールとして響き渡る圧巻の歌声を聴いた瞬間、「あぁ、宝塚が誇る歌姫は今日も健在だ」という安堵の気持ちと、これから劇場でその歌声を聴けなくなってしまう寂しさがこみ上げてきました。これまで宝塚の舞台に数々の素晴らしい感動を届けてくださった美穂さんに、心からの感謝を贈りたいです。

朝美絢さん記事はこちら

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