ミュージカル「ジキル&ハイド」観劇レポです。
初演から愛され続けてきた名作が、2026年に新演出でよみがえる。その節目の公演を、ついに初めて体験してきました。
今回のレポでは、私が観た日のキャスト、その魅力、物語の中で息づく見どころ、そして胸に残った感想を、感じたままに綴っています。
あの劇場の空気を少しでもお届けできたら嬉しいです。どうぞゆっくりお読みください。
ジキル&ハイドのキャストのご紹介
ヘンリー・ジキル、エドワード・ハイド:柿澤勇人さん
ルーシー・ハリス:真彩希帆さん
エマ・カルー:唯月ふうかさん
ジョン・アターソン:樫山隼太さん
サイモン・ストライド:章平さん
執事プール:佐藤誓さん
ダンヴァース・カルー卿:栗原英雄さん
ジキル&ハイドあらすじ
この作品は、名作小説『ジキル博士とハイド氏』を原作としています。私自身、小学生の頃に学校の図書館で本を借りて読んだ記憶があり、多くの方に親しまれてきた物語でもあります。
舞台は19世紀ロンドン。医師ヘンリー・ジキルは「人間の中に潜む悪を制御し、消し去ることができれば、救える命がある」と信じ、善と悪を分離する薬の研究に没頭します。
やがて薬は人体実験の段階にまで到達しますが、病院の理事会から承認を得ることはできません。失意の中で出会ったのが、娼婦ルーシー。
ルーシーとの出会いが、ジキルの心に小さな揺らぎを生みます。そしてジキルはついに、自らの身体で実験を試みる決意を固め、薬を飲み、その経過を日記に記し始めます。
しかし薬の効果は、ジキルの想像を超えていました。ジキルの中に「ハイド」という残忍な人格が現れ、深夜の街で凶行を重ねていくのです。
次第にジキルの意思とは無関係にハイドが現れるようになり、ジキルは恐怖と絶望の中で実験の中止を決意します。
そして、婚約者エマとの未来はどうなるのか。ジキルの選択が、ジキル自身と周囲の運命を大きく揺さぶっていきます。
ジキル&ハイドの見どころ3選!
ジキルが薬を飲み、ハイドが生まれる瞬間
自ら人体実験を決行し、薬を飲んだジキルの身体に異変が走る。あの変貌のシーンは、音響とライトの効果が重なり、劇場全体の空気が一気に変わるほどの迫力でした。
私はオペラグラスを落としそうになるくらい、本気で驚きました。「人間の内側に潜む何かが目を覚ます瞬間」を、あれほど生々しく体感させられるとは思わず、見入ってしまいました。
デュエットシーンの美しさ
ミュージカルの醍醐味といえば、やはりデュエット。ジキルとエマ、そしてルーシーとエマ。それぞれの関係性が音楽の中で繊細に浮かび上がり、旋律の美しさに自然と心が引き寄せられました。
声が重なった瞬間の透明な響きが本当に素晴らしく、気づけば呼吸を忘れるほど聞き入っていました。物語の緊張感の中に、差し込む温かさや切なさが胸に残ります。
ジキルによる殺人シーン(1幕ラスト)
そして、1幕最後の殺人シーン。初めて観る私には衝撃が強すぎて、しばらく動けないほどでした。舞台上のスピード感、音楽の高まり、ハイドの暴走。
すべてが一気に押し寄せてきて、ここから物語が一気に転がり始めるんだと実感させられる場面です。刺激的で、恐ろしくて、でも目をそらせない。この作品の二面性のドラマが最も鮮烈に刻まれる瞬間でした。
ジキル&ハイド・キャストの感想!
柿澤勇人さん(ジキル/ハイド)圧倒的な熱量と危うさ
何よりもまず、柿澤勇人さんのジキル・ハイドが凄まじかったです。舞台上に立つだけで空気が変わるような、圧の強さ。
東京から福岡、愛知へと続く長い公演期間を思うと、この熱量で最後まで走り切れるのだろうかと本気で心配になるほどでした。
特に殺人シーンの迫力は、衝撃的。劇場を出た後、夜道を歩きながらもし今、ハイドが現れたら、と一瞬よぎってしまい、思わず足が速くなってしまったほどです。それくらい、柿澤勇人さんの二つの人格は生々しく、恐ろしく、そして魅力的でした。
身長175cmに加え、5cmほどのヒールの靴を履いていたこともあり、舞台上ではさらに長身で細身のシルエットに。その佇まいが、神経質で繊細な医師ジキル像にぴたりとはまっていて視覚的な説得力も抜群でした。
Wキャストの佐藤隆紀さんは身長180cmのがっしりとした体格。同じ役でも、きっとまったく違うジキル像が立ち上がることでしょう。
唯月ふうかさん(エマ)柔らかく包み込むような愛
エマ役の唯月ふうかさんは、柔らかく澄んだ美声が本当に魅力的でした。歌声そのものが優しさを帯びていて、ジキルを包み込むような温度が終始伝わってきます。
残忍なハイドが目の前に現れても、恐怖よりも愛が勝っているような、あの揺るぎない眼差し。エマという人物の深い愛情が、唯月ふうかさんの声と表情を通して自然に立ち上がっていました。
真彩希帆さん(ルーシー)荒々しさの奥に見える品の影
ルーシー役の真彩希帆さんは、元宝塚トップ娘役らしい安定した歌唱力が圧巻でした。娼婦という役柄ゆえに歌にも荒々しさや切迫感が滲むのですが、その奥にふと品の良さが顔を出す瞬間が。
その二面性がとても魅力的で、ジキルがルーシーに惹かれた理由が少しわかる気がしました。ただの危うい女性ではなく、どこか守ってあげたくなるような繊細さが漂っていました。
Wキャストの和希そらさんは元宝塚男役。同じルーシーでも、きっとまったく違う色気と強さが生まれるはずで、和希そらさん版ルーシーもぜひ観てみたいと思わせられます。
ジキル&ハイドを観た感想
この作品の代表曲とも言えるジキルが決意をする歌『時が来た』は、耳に残る名曲ですね。柿澤勇人さんの熱唱は素晴らしく、圧巻の歌唱力で歌い上げていました。
この作品の楽曲はアメリカの世界的作曲家フランク・ワイルドホーンさんが作曲されています。ミュージカル『スカーレット・ピンパーネル』の楽曲も手掛けていて、今回のジキル&ハイドの楽曲を聴いていて、スカーレット・ピンパーネルをチラリと思い出しました(笑)。
圧倒的な見せ場は、やっぱりジキルが実験を断念し、薬を飲むあの瞬間。舞台の空気が一気に張りつめて、客席の呼吸まで止まるような感覚。
ジキルが震える手で薬に触れようとすると、すぐさまハイドがその行動をねじ伏せるように現れる。そのせめぎ合いが一曲の中で何度も繰り返され、柿澤勇人さんの演技があまりにも生々しくて、私は目を逸らすことができなかった。
歌声はジキルの理性とハイドの狂気がぶつかり合うたびに色を変え、声の温度、表情の陰影、身体の動き、そのすべてが「二人の人格が本当に存在している」と錯覚させるほど。
薬を飲むか、飲まないか。その一瞬のために、彼の全身が悲鳴を上げているようで、胸がぎゅっと締めつけられた。
あのシーンは演技という言葉では足りないくらい。柿澤勇人さん自身の心が裂けていくのを、観客が目撃してしまったような、そんな圧倒的な瞬間でした。
今回の公演は新演出ということもあり、その演出に興味がありました。観終わった今は、むしろ「どうして過去の公演を観てこなかったのだろう」と悔しさが込み上げてきます。
物語の深さや人物の揺らぎが、演出によってより繊細に浮かび上がり、心に伝わる、そんな舞台でした。
派手さよりも、じわりと広がる余韻が長く残り、観劇後の帰り道で何度も思い返してしまうほどです。もっと早くこの作品に触れていれば、きっと違う景色が見えていたはず。後悔とともに、今回の出会いがとても大切なものとなりました。
そして、「善」と「悪」、その狭間に揺れる人間の弱さと強さを静かに見つめ直したくなる舞台でした。
東京フォーラムCでの公演での舞台の見え方
東京フォーラム・ホールCは座席数1502席、1階から3階まである大きなホールです。今回のお席は3階席、6Fです。5Fから階段、又はエレベーターで上がります。
帰りは、階段は込み合いますので、早々にエレベーターに乗って2Fまで降りるのがお勧めです。
3階席舞台正面、前から3列目でした。座席の背もたれに背中を付けると(ホールでは、必ず前のめりにならない様に、と職員の方が呼びかけていますよね(笑))丁度オーケストラボックスから舞台全体が見え、舞台からの距離はあまり感じませんでした。
ですが、俳優さんの細かな表情やお衣装など肉眼でよく分からないのでオペラグラスはあった方が良いですね。
上から舞台を見下ろしますので、舞台全体を観る事が出来、俳優さんの動きが良く分かります。また、オーケストラの音色は1階席より3階席の方がよく伝わるように感じました。
キャストの方々を深堀しています。どうぞお読みください。


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